20.バランススコアカード

バランス・スコアカード
複数の評価指標をバランスよく使う経営システム

どのような評価指標を用いるかで人の行動は左右される。経営においては、業績目標だけでなく業績に影響を与える複数の評価指標をバランスよく活用することが大切だ。

■何を評価するかで結果が変わる

営業部員の成績を売上高だけで評価すれば、売上高の大きい注文を取ってこようとする。利益率で評価すれば、売上が多少小さくても利益率の高い案件を狙う。どのような評価指標を用いるかで人の行動が左右されることは周知の事実である。

今日の企業経営は複雑だ。高度成長期のように売上高を唯一の評価指標にして経営していれば全てがうまくいった時代は終った。売上や利益といった財務的な経営指標だけを重視することが、かえって顧客志向やイノベーションといった企業の成長に必要な要因を阻害する場合もある。

バランス・スコアカードは飛行機の操縦席にある計器類に例えられる。パイロットは飛行機を操縦する際に方向とスピードをコントロールするだけではない。操縦席にある無数の計器類によって高度、方位、気象条件、燃料、室温など多数の項目をチェックしている。

現代の経営もこれと同じで、経営者は複数の分野の評価指標を同時に把握し、コントロールしなければならないのだ。

■4つの評価指標をバランスさせる

バランス・スコアカードはBalanced(均衡の取れた) Scorecard(得点表または評価指標)という意味である。つまり、複数の経営指標をバランスさせながら運営する経営手法のことなのだ。

バランス・スコアカードの理論では次の4つの視点を提唱している。

1.顧客の視点(顧客はどう見ているか)

2.社内プロセスの視点(どの分野で秀でるべきか)

3.イノベーションと学習の視点(改善ないし価値創造の余地はあるか)

4.財務の視点(株主はどう見ているか)

これら4つの視点は事業経営を行う上で非常に大切なポイントを含んでいる。

先ずは顧客の視点である。今まで耳にたこができるほど述べてきたが、企業の第一の目的は「お客様に選んで頂ける商品やサービスを提供すること」である。どのようなビジネスであろうとも、お客様に支持されなければ我々は生き残れないのだ。

顧客の視点では、スピード・品質・サービスなど、顧客の関心のある分野において具体的な目標を定め、達成度を示す評価指標を設定する必要がある。モデルチェンジの期間、納期、クレーム発生率などがその例である。

社内プロセスの視点とは、どの分野で秀でるべきかを明確にすることである。戦略の要諦は「勝つための特徴作り」である。優良企業は必ず独自の勝ちパターンを持っている。勝つには勝つ理由があるのだ。生産性、品質、開発効率、技術力など、どこに特徴を持ってお客様を満足させるかだ。

イノベーションと学習の視点とは、継続的改善や価値向上への飽くなき挑戦などに対する視点である。

顧客の視点と社内プロセスの視点とはSWOT分析における「機会」と「強み」に焦点をあてた評価指標とも言える。顧客の視点と社内プロセスの視点で戦略的な目標が明確になっていても、昨今の激しい市場環境や競争環境の変化の中で、目標はどんどん変わってゆく。イノベーションと学習の視点を設けることで、企業の変化対応能力やレベル向上能力をチェックできるのだ。

最後が財務の視点だ。いくらきれいごとを言っても、営利団体である以上、経済的価値を生まない経営は失敗である。

「規模を大きくしたいとも儲けたいとも思わない。金儲けよりもっと大切なものがある。」と言われる素敵な社長さんは多い。このような考えを決して否定するわけではない。しかし、売上が多くないということは、結局は多くのお客様に喜んでもらえていないということだし、利益が上がっていないということは、その事業を継続できるかどうかも危ういということだ。そんな企業で働いている社員はかわいそうである。

事業経営に大切な評価指標をバランスよくチェックしながら事業を発展させて頂きたい。


以上