24.360度評価

360度評価制度
上司だけでなく部下・同僚が評価する制度

人を正しく評価することは極めて難しい。360度評価制度は、直属の上司のみでなく、部下・同僚などに評価してもらうことで評価の客観性を高める極めて有効な手法である。

■客観的で公平な評価をサポートする360度評価制度

人をやる気にさせる上で、人を適切に評価してあげることは極めて重要である。一生懸命頑張っても何の差もつかないのであれば、人はやがて一生懸命頑張ることがバカらしく思えてくる。人は正しく評価されることを望んでいる。

ただ、評価制度を導入すれば導入したでまた多くの問題を抱えることになる。何を評価すればよいのか、評価のレベルは公平か、そもそも初期の目標設定のレベルにバラつきがあるのではないか等々。その中でも問題になるのが評価者の評価レベルのバラつきである。

社長一人で評価する場合は一人の価値観の中で全員が評価される。しかし、複数の人間が評価するようになると評価のバラつきが問題になってくる。

また、上司だけが部下を評価すると、イエスマンが良い評価を受けたりする。しかし、イエスマンは部下・同僚から信頼が薄く成果を出せない人が多い。

そのような、評価の客観性・公平性の問題を埋めるために有効なのが、360度評価制度ある。360度評価制度とは、上司の評価だけでなく、部下や同僚など、さまざまな人に評価してもらう制度のことをいう。

■360度評価の方法と利用

360度評価制度とは、上司だけでなく部下や同僚などに評価してもらう制度であると述べた。部下や同僚が何を評価するかは、基本的に今まで上司が部下を評価していた項目、つまり会社毎に大切にしている評価項目やコンピタンシーの項目を使えばよい。ただ、評価の方法と利用のしかたには幾つかの種類がある。

評価のする人の選び方は大きく分けて以下の3つの方法がある。

1. 上司が自分の部下(被評価者)を評価する人を選ぶ方法

2. 評価される人(被評価者)自身が自分を評価してくれる人を選ぶ方法

3. 評価する人が評価される人(被評価者)を選ぶ方法

上記1と2の場合、評価する人の数は8〜12名程度の例が多いようである。3の手法は私が勤務していた会社(360度評価制度を30年以上前に導)が使っている手法である。その会社では、毎年評価される人(被評価者)のリストが配られ、その中から自分が良く知っている人を10名程度選んで評価する。結果的に被観察者一人平均で50名程度に評価されていた。いずれにせよ、数が少ないと客観的な評価にはなりにくい。

360度評価制度の利用方法としては次ぎの二通りがある。

1. 直接評価に直結させる方法

2. 上司が評価する際の参考データとして利用する方法

どちらの方法も一長一短があるが、現行日本で導入されている例では、上司や人事が参考データとして使っている場合が多いようである。

■360度評価の功罪

360度評価制度は、評価訓練を受けていない一般社員に正しい評価ができるのか、個性的な人間は評価されず人気投票のような結果になるのではないか、周囲の目を意識しすぎた行動を助長させるのではないか、などの懸念点があげられることが多いが、私が勤務していた会社での30年以上の実績の中ではそのような問題は発生していなかった。

組織運営上、従業員に対する正しい評価は必要である。しかし、人が人を客観的に評価するのはほぼ不可能である。では何によって客観性のレベルを高めてゆくか、その一つの解決策が評価者の数を増やすことである。法律の世界に「主観の重畳は客観化される」という言葉がある。人が主観的に思っていることでも、それが数多く集まれば客観的といえるということである。一人が言っていることは間違いも多いが、多くの人が言っていることは正しいことが多いのだ。多くの人の意見を聞き、客観的な評価をして頂きたい。


以上